交通事故を起こした時に問題となる責任

 民事以外の責任について

 

 交通事故を起こした場合に問題となる責任として、まずは刑事上の責任が問題

となります。
 具体的には、
・自動車運転過失致死傷罪(刑法211条2項)
・7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処せられます。
・危険運転致死傷罪(刑法208条の2)
・負傷させた場合→15年以下の懲役(下限は1月)
・死亡させた場合→1年以上の有期懲役(上限は20年)
・道路交通法違反の刑罰(酒酔い運転等)
等が挙げられます。
 刑事責任という性質上、行政上・民事上の責任と比べて最も重たい責任といえ

るでしょう。
 
 行政上の処分


 行政上処分の代表的なものとして、免許停止・取消処分(道路交通法103条)

や、免許拒否・保留処分(道路交通法90条)が挙げられます。
 交通違反のうち、比較的軽微な違反行為(反則行為)は、交通反則通告制度

(いわゆる青切符です。)によって処理されています。
 これは、比較的軽微な交通違反事件(反則行為)について、反則金の納付を命じ、

これを一定の期間内に納付した者には、刑事裁判を受けない(又は、家庭裁判所

の審判に付されない。)というメリットを与える制度です。
 この場合、行政処分として処理されますので、違反者に前科はつきません。

一方で、重大な反則行為の場合(EX,酒酔い運転や交通事故を伴う場合、無免

許運転等)は、交通反則通告制度が適用されず、前回お伝えした刑事責任として

処分されことになります。
 この交通反則通告制度に基づく反則金の支払いは任意です。しかし、反則金の

支払いを怠った場合は、刑事手続きとして処理されることになりますので、この

点は要注意です。
 なお、報告義務を怠った場合、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金という

法定刑が用意されています(道路交通法72条1項後段、同法119条1項10

号)。
 この報告義務を履行することによって、交通事故証明書を取得することが可能

になります。
 
 この交通事故証明書を取得できない場合、後日、保険金の請求をすることが困

難な状況に陥ります。
 他に注意すべき点として、「直ちに」届ける必要があること、物損・人身を問

わず届け出る必要があることなどが挙げられます。
 なお、加害者が重傷で報告できない場合や、あえて報告をしない場合は、被害

者自身で報告をする必要があります。
 仮に加害者から報告をしないよう働きかけられたとしても、そのような提案に

乗ることなく、必ず警察へ報告しましょう。
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