以下では、(人身・死亡事故被害に遭った)給与所得者の損害賠償を請求する場合に生じる問題点をQ&A方式で紹介します。
Q1
年次有給休暇を取得して、欠勤による減給の不利益を回避しました。このような場合、休業損害は認められないのでしょうか。
A
設問のような場合、表面上は減収がないようにも思えますが、実質的には、被害者の年次有給休暇請求権の行使という擬制によって減収という不利益を回避したにすぎないことから、休業損害は認められます。
具体的には、
①年次有給休暇手当の支給を無視して休業損害を算定する方法
②財産的損害の発生を否定し、慰謝料で実質的な損害の賠償を行う方法
③年休取得により手当相当額の財産的損害が発生したとする方法
などの方法が挙げられます。
Q2
死亡事故被害に遭った場合に、休業損害が認められることはあるのでしょうか。
A
はい。事故後、死亡に至るまでの間に休業したのであれば休業損害の請求が認められます。
一方で、被害者の方が即死したケースであれば、休業損害の請求は認められません。
Q3
事故に遭いました。
基礎収入は原則として事故前の給与額によると聞きましたが、この給与額とは税金等を控除した後の額のことをいうのでしょうか。
A
いいえ。いわゆる税込金額を基礎とします。
なお、給与額には、本給のほか、歩合給・各種手当・賞与等を含みます。
※事故後に昇給が生じているような場合は、適宜調整計算した金額を使用する必要があります。
Q4
夫が、交通事故に遭い死亡しました。
夫の事故死亡時に支給された退職金と、定年まで勤務すれば得られたはずの退職金額との間に差がありました。
この差額を損害として認めてもらえるのでしょうか。
A
退職金が支給されることが確実な場合、請求できます。
但し、定年時に支払われる金額は中間利息を控除した金額になります。そのため、定年退職金から中間利息控除後の金額が、死亡退職金を下回るような場合は、損害の発生を主張できません(なお、このようにして算出した金額から生活費割合を控除するか否かについては、裁判例は判断が分かれています。)。
Q5
給与所得者である死亡被害者の逸失利益を算定する際、将来の昇給について考慮されるのでしょうか。
A
例えば、公務員、大企業労働者などのように給与規定、昇給基準が確立されている場合に考慮された例が多々見られます。
Q6
死亡時の収入額が低い場合であっても、その収入を基礎に逸失利益の算定がなされるのでしょうか。
A
いいえ。
将来賃金センサスの平均賃金程度の収入を得られると認められれば(ex,被害者が若年の場合)、賃金センサスの平均賃金額を基礎とすることが可能です。
Q7
休業損害の算定の際、どの年度の確定申告所得額が基準になりますか。
A
原則として、事故前年の確定申告所得額が基準になります。
しかし、年度間で相当の変動が認められる場合等前年度の金額で算定するのが不適切だと考えられる場合は、事故前数年分の平均額を利用するなど適当な金額で請求すること可能です。
以上
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