上肢の障害 併合と準用

 上肢の併合

 

ア 系列を異にする障害が2以上ある場合には、労災則第14条第2項、および第3項に

より併合して等級を認定することになります。

 

(例1:右上肢を手関節以上で失い(第5級の4)、かつ、左上肢の1関節の用を廃した

   (第8級の6)場合には、併合第3級となります。

 

(例2:右手の示指を失い(第11級の8)、かつ、左手の示指を失った(第11級の8)

   場合は、併合第10級となります。

 

 ただし、併合した結果序列を乱すこととなる場合は、直近上位、または直近下位の等級

で認定することになります。

 

(例:1上肢を手関節以上で失い(第5級の4)、かつ、同一上肢の上腕骨に第7級の9

  の癒合不全を残した場合には、併合すると第3級となりますが、ひじ関節以上の亡失

  (第4級の4)には達しないので、併合第5級となります。

 

 このように、同一上肢に手関節以上、またはひじ関節以上の亡失(第5級の4、または

第4級の4)と長管骨の変形障害を残す場合は、変形障害の程度にかかわらず、前者につ

いては併合第5級、後者については併合第4級となります。

 

イ 次の場合には、併合によることなく、それぞれに示すところにより等級を定めること

 になります。

 

(ア)組み合わせ等級が定められている場合

 

(例:左右の上肢の用をともに全廃した場合、右上肢の用を全廃したもの(第5級の6)

  と左上肢の用を全廃したもの(第5級の6)とを併合するのではなく、障害等級表に

  定められた「両上肢の用を全廃したもの」(第1級の4)とします。

 

(イ)通常派生する関係にある場合

 

(例1:橈骨の遠位骨端部の癒合不全、または欠損(第12級の8)と手関節の著しい機

   能障害(第10級の10)を残す場合には、上位の等級である第10級の10と認

   定されます。) 

 

(例2:上腕骨、若しくは橈骨、および尺骨の骨折部に癒合不全、または変形を残すとと

   もに、その部位に疼痛を残す場合には、いずれか上位の等級によることになります。)

 

 上肢の準用

 

 障害等級表上に、その属する系列はあるが、該当する障害がない場合は、次により等級を認

定することになります。

 

ア 併合の方法を用いて準用等級を定めるもの

  次の場合には、労災則第14条第4項により、併合の方法を用いて準用等級を定めること

 になります。

 

(例:1上肢の上腕骨に第7級の9の癒合不全を残し、かつ同一上肢の橈骨、および尺骨に変

  形を残した(第12級の8)場合は、準用第6級となります。)

 

 また、1上肢の機能障害と同一上肢の手指の欠損、または機能障害を残す場合、これらはみ

なし系列であるので、上肢、手指それぞれ別個に等級を定め、さらにこれらを併合の方法を用

いて準用等級を定めることになります。

 

(例:1上肢の手関節の機能に障害を残す(12級の6)とともに、同一上肢の母子の用を廃

  し(第10級の7)、かつ、中指を亡失した(第11級の8)場合は、手指について併合

  の方法を用いて準用第9級を定め、さらに、これと手関節の機能障害とについて併合の方

  法を用いて準用第8級と認定します。)

 

 ただし、併合の方法を用いた結果序列を乱すこととなる場合は、直近上位、または直近下位

の等級に認定することになります。

 

(ア)直近下位の等級に認定するもの

 

(例:1上肢の肩関節、およびひじ関節の用を廃し(第6級の6)、かつ同一上肢の母指、お

  よび示指の用を廃した(第9級の13)場合は、併合の方法を用いると第5級となります

  が、1上肢の用を全廃したもの(第5級の6)には達しないので、準用第6級となります。)

 

(イ)直近上位の等級に認定するもの

 

(例:1手の小指を亡失し(第12級の9)、かつ、同一手の環指の用を廃した(第12級の

  10)場合は、併合の方法を用いると第11級となりますが、1手の母指以外の2の手指

  の用を廃したもの(第10級の7)よりは重く、1手の母指以外の2の手指を失ったもの

  (第9級の12)には達しないので、準用第10級となります。

 

(ウ)3大関節の全てに同一の機能障害を残す場合の取扱い

   1上肢の3大関節の全ての関節の機能に著しい障害を残すものは第8級。1上肢の全て

  の関節の機能に障害を残すものは第10級に準ずる障害としてそれぞれ取り扱います。

 

(エ)手関節、またはひじ関節以上で亡失した場合の取扱い

   手関節以上の亡失、またはひじ関節以上の亡失と関節の機能障害を残す場合は、機能障

  害の程度に関係なく、前者については準用第5級、後者については準用第4級として取り

  扱います。

 

(例1:1上肢を手関節以上で失い(第5級の4)、かつ、同一上肢の肩関節の用を廃した

   (第8級の6)場合は、準用第5級となります。)

(例2:1上肢をひじ関節以上で失い(第4級の4)かつ、同一上肢の肩関節の用を廃した

   (第8級の6)場合は、準用第4級となります。)

 

イ 他の障害の等級を準用するもの

(ア)前腕の回内・回外については、その可動域が健側の4分の1以下に制限されているもの

  を第10級、2分の1以下に制限されているものを第12級に準ずる関節の機能障害とし

  てそれぞれ取り扱います。

   なお、回内・回外の可動域制限と同一上肢の関節の機能障害を残す場合は、併合の方法

  を用いて準用等級を定めます。ただし、手関節部、またはひじ関節部の骨折等により、手

  関節、またはひじ関節の機能障害と回内・回外の可動域制限を残す場合は、いずれか上位

  の等級で認定されます。(注 手関節部の骨折等の場合には手関節と回内・回外が、ひじ

  関節部の骨折等の場合にはひじ関節と回内・回外に障害を残すことが一般的です。)

 

(イ)上肢の動揺関節については、それが他動的なものであると、自動的なものであるとにか

  かわらず、次の基準によってその等級を認定することになります。

 

(a)常に硬性補装具を必要とするものは、第10級に準ずる関節の機能障害として取り扱

  います。

(b)時々硬性補装具を必要とするものは、第12級に準ずる関節の機能障害として取り扱

  います。

 

(ウ)習慣性脱臼は、第12級に準ずる関節の機能障害として取り扱います。   

                                        以上

慰謝料の増額に強い大阪の弁護士が人身(軽傷から重度後遺障害まで)交通事故

被害者の救済に尽力致します。人身事故被害者の損害賠償請求(傷害・後遺障害

慰謝料、逸失利益、休業損害等)を事故時から賠償金の回収に至るまで全面的に

サポート。無料法律相談実施中(土日祝・夜間・無料電話相談も対応可)、弁護

士費用特約(大多数の保険では300万円まで弁護士費用をカバー)にも対応。

弁護士に依頼することによるメリット・費用等をわかりやすく説明しますのでお

気軽にご連絡下さい(完全後払いも可)。

URL     http://www.united-law.com

Email   maeno@united-law.com

TEL     06-6309-0515