信号機がない交差点の事故(自動車広路から右折、単車狭路直進)
Q
信号機がなく、見とおしが悪い十字路交差点で単車(自動二輪車(原動機付自転車を含む))と自動車との衝突事故が起きました。
具体的には、西から東へ直進する単車(以下、「直進単車」といいます。)と南から東へ右折する自動車(以下、「右折自動車」といいます。)が衝突しました。
この交差点は、南北の道路が明らかに広く、東西の道路が狭くなっていますが、一方に優先道路や一時停止などの規制は存在しません。
この場合の過失割合について教えてください。
A
基本、直進単車40%、右折自動車60%の過失割合です(明らかに広い道路とは、交差する道路の一方の幅員が他方よりも明らかに広い道路をいい、車両の運転者が交差点の入り口において、客観的にかなり広いと見分けられるものをいいます(道路交通法第36条第2項、第3項)。)。
右折自動車の徐行ないしそれに近い減速が前提となっています。
直進単車についても、優先道路を通行している場合を除き、見とおしがきかない交差点においては徐行運転の義務が課されていることから(道路交通法第42条第1号)、直進単車がある程度の減速を行っていることを前提としています。
上記の基本割合は、直進単車と右折自動車とが、ほぼ同時に交差点中心付近に至り、一旦停止、又は徐行をしつつ鼻をつきあわせた後、さらに交差点中心付近を越えて進行しようとして衝突した場合を想定しています。このような場合には、右折自動車は、直進単車の左方から交差点に進入してきた時に比べ、衝突を容易に回避することができるため、過失の程度がより大きくなります。
なお、狭路側の道路に一時停止の規制がある場合は適用外です。
また、信号機が設置されている交差点であっても、黄点滅信号や赤点滅信号が表示されているだけの交差点は、信号機による交通整理の行われている交差点には該当しません。
以上を前提に、直進単車の減速の有無、時速15km以上、又は時速30km以上の速度違反の有無、右折自動車の徐行(右折車としての通常の速度をいい、必ずしも法律上の要求される徐行でなくてよい。)、右折禁止違反、既右折の有無、その他双方の著しい過失・重過失の有無等の個別事情により基本割合が修正されます。
右折自動車が交差点に先入し、対向車もいないためそのまま右折を行おうとしたところ、これに遅れて交差点に進入してきた直進単車が衝突した場合や、右折自動車、直進単車の双方が徐行をせずに右折・直進したために衝突した場合などには、既右折のほか、直進単車の著しい過失・重過失の修正要素の適用可能性があります。
以上
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